メキシコのスペイン語がスペインの標準語と違うって本当?
メキシコのスペイン語は独特だけど、世界で最も話されているスペイン語方言なんだよ。
スペイン語について知ると、地域によってかなりの違いがあることに気づくでしょう。
メキシコのスペイン語もその一つ。
コミュニケーション自体は問題なく取れますが、
スペイン標準語とはかけ離れているのが事実です。
こんな疑問を解決します。
- メキシコのスペイン語の特徴は?
- メキシコ特有のスペイン語単語は?
- なぜメキシコのスペイン語を学ぶべきなの?
実際にメキシコで通訳として働いていた筆者が、メキシコのスペイン語について解説します。
それでは見ていきましょう。
メキシコのスペイン語の特徴・違い
メキシコのスペイン語特徴①発音
メキシコのスペイン語では、S・C・Zの発音を区別しません。
スペインの標準語と比べてみるとどうでしょう。
音 | スペイン標準語 | メキシコ方言 |
---|---|---|
sa, se, si, so, su 例: sábado | s(サ行と同じ) | s(サ行と同じ) |
ce, ci 例: centro | θ(英語のth) | s(サ行と同じ) |
za, ze, zi, zo, zu 例: zapatos | θ(英語のth) | s(サ行と同じ) |
日本語のサ行と同じ発音だから簡単だよ!
スペイン標準語のC・Z【θ】は日本人にとって発音しにくい音であることから、
メキシコのスペイン語の方が聞き取りやすく、習得しやすいと言えるでしょう。
メキシコのスペイン語特徴②二人称複数形
二人称複数形ってなんだっけ?
複数相手の呼び方のことだよ!
スペインでは親しい仲では「vosotros(君たち)」という呼称が使われますが、
メキシコのスペイン語に「vosotros(君たち)」という単語は存在しません。
メキシコのスペイン語では「ustedes(あなたたち)」という敬称が、これと同等になります。
メキシコのスペイン語特徴③縮小辞
メキシコでは、縮小辞「-ito/-ita」をよく使います。
縮小辞とは例えば、
- ahorita(今)
- amiguito(友達)
- amorcito(恋人)
- Diocito(神様)
- taquito(タコス)
本来縮小辞というのは、「小さいもの」「少ないもの」を表現するものですが、
メキシコではそのサイズや規模はそれほど関係なく、「-ito/-ita」をよく使う傾向にあります。
縮小辞をつけると響きが可愛いくて、フランクな印象になるんだ。
メキシコ特有のスペイン語単語
メキシコのスペイン語: よく使われる表現
¡Órale!
驚き、驚嘆、興奮、承認、励ましなど、様々な意味で使われる単語。
ポジティブな意味合いを持つことが多いです。
- Órale! Qué padre!(わー!素敵!)
- Órale! Echale ganas!(ほら!頑張って!)
- Órale! Rápido!(ほら!早くして!)
¡Qué padre!
英語の「nice」に近い意味を持つ、賞賛の表現。
「すごい」「素敵」という意味でよく使われます。
スペインでは「Qué Guay!」と言います。
- Te vas de vacaciones? Qué padre!(休暇に出るの?いいね!)
- Qué padrísimo vestido!(そのワンピース超素敵!)
Chido
先程の「padre」のように、何かを褒める時に使われる単語。
若者によく使われますが、言い方によっては冷たくなることも。
- En serio wey? Qué chido!(マジで?スゲーじゃん!)
- No, estoy chido.(いや、俺は大丈夫。)
Chingón/Chingona
「excepcional」のように、とても優れた物事や人を表現するのに使われます。
- Qué chingón!(めっちゃスゲー!)
- Ella es chingona.(あの子めっちゃカッコいい)
Güey/Wey
「アイツ」と見知らぬ人を呼ぶときに使う言葉。
また仲の良い友人同士で会話する際に「wey」を語頭や語尾につけて、相手を信頼していることを表現します。
「なあ」「~がさあ…」のように訳すことが可能。
もともと先住民の言葉から来た表現だと言われています。
- Ay, Güey!(うわ!)
- Ese wey viene de Estados Unidos.(あいつアメリカ出身だよ。)
- Wey, no mames.(なあふざけんなよ。)
Chafa
品質が劣っていたり、残念な事柄を表現するのに使われます。
- Este celular es muy chafa.(この携帯全然使えないよ。)
- Qué chafa que no hacen bien su chamba.(あいつらちゃんと仕事しないなんてダメだね。)
Híjole
驚きやショックを表現する感嘆符。
日本語には訳しにくい単語で、ネガティブな意味を持つことが多いです。
似た意味を持つ「Chin!(しまった!)」も良く使われます。
- Híjole, está bien difícil.(ヒー。これ難しい。)
- Chin! se me olvidó traer las llaves.(しまった!鍵持ってくるの忘れた。)
No manches
ポジティブ・ネガティブ両方の意味で使われる感嘆符。
「うそでしょ」「まじか」「ちょっとやめてよ」など、いろんな訳し方ができます。
- No manches, en serio?(うそー、ほんとに?)
- No manches mi amor, deja de decir cosas raras.(ちょっと、変な事言うのやめてよ。)
Mande
「何だって?」と聞き返したり、返事をするのに使われます。
- Mande? No te oigo.(何て言った?よく聞こえない。)
メキシコのスペイン語: 標準語にはない単語
Camión
「バス(autobus)」のこと。スペインではCamionはトラックを意味します。
また自動車「coche」にもバリエーションがあり、
大きめのバンなどSUVは「camioneta」
小さめのセダンは「carro」と呼ばれます。
Chavo/Chava
「若者」を意味する単語。
ChavaはSalvadorという名前の短縮形でもあります。
Chela
「ビール(Cerveza)」を表す単語。
Cervezaよりもフランクな表現で、Chela以外にも様々な言い方をします。
大きめのビール瓶は「cahuama」です。
- Vamos por unas chelas?(ビールでも飲みに行く?)
Chamba
先程例文で出てきましたが、「仕事(Trabajo)」の意味で使われます。
Chanbearと動詞化されることもあります。
- Qué tal la chamba?(仕事どう?)
- Estoy chambeando.(仕事中だよ。)
Güero/Güera
「白人」「金髪」を表す言葉ですが、
市場などで客を惹きつけるために「美人さん」という意味合いで使われることも。
Gringo/Gringa
「アメリカ人」または欧米人全般を表す言葉。
Gringaは小麦粉由来のトルティーヤを使った料理の名前にもなっています。
Jugo
「ジュース」を指しますが、スペインではzumoと言われます。
メキシコでzumo de naranja(オレンジジュース)と言っても通じないので注意。
Alberca
「プール」を表す言葉で、スペインでは「piscina」です。
Pluma
鳥の羽を意味しますが、「ボールペン」の意味で使われます。
昔の人が使っていた「羽ペン」から来ている単語。
スペインでは「bolígrafo」と言われます。
Popote
「ストロー」を指し、ナワトル語のpopotlから派生した単語です。
スペインではpajillaと言われます。
Fresa/Naco
これらは人の属性を皮肉的に表す言葉。
Fresaはお金持ちの「お坊ちゃま・お嬢様」。
Nacoはレゲトン好きの低所得者。また派手な格好をしてモラルのない人たち。
他にも、「Mirrey(お金持ちのパリピ)」や「Godín(サラリーマン・OL)」などがあります。
Playera
「Tシャツ」を意味する単語。
スペインではcamisetaに当たります。
Torta
「サンドウィッチ」を意味する単語で、スペインでは「bocadillo」と呼ばれます。
tortaはスペインではケーキを意味しますが、メキシコでケーキはpastelです。
他にもたくさんあるんだけど、ここでは紹介しきれないからこれくらいにしておこう。
これらの単語や表現はメキシコ特有のもので、
キーボードをメキシコのスペイン語に設定していないと、認識してもらえません。
こんなに独特なのに、メキシコのスペイン語を学ぶメリットは何なの?
それはね、アメリカでの需要が関係してるんだ。
メキシコのスペイン語を学ぶべき理由
試しにGoogleの画像検索で「torta」と検索してみると、何が出てくるでしょう。
メキシコの「Torta(サンドウィッチ)」が圧倒的に多いことが分かります。
これはインターネット上のスペイン語話者の割合が、メキシコの方が圧倒的に多いからです。
メキシコのスペイン語: アメリカでの圧倒的人口
下記の表を見てもらうと、
世界で最もスペイン語話者が多い国はメキシコだということが分かります。
さらに、
世界で二番目にスペイン語が話されている国はアメリカ合衆国です。
なぜそれが重要かというと、
アメリカは日本にとって、経済的にも政治的にも非常に重要な国だからです。
そんなアメリカでは、スペイン語話者の数が爆発的に増えており、
アメリカ合衆国国勢調査局によると、
2050年にはアメリカ人の3人に1人がヒスパニック系※になると言われています。
※アメリカでスペイン語を話すラテンアメリカ地域の出身者およびその子孫を「ヒスパニック(ラティーノ)」と呼びます。
アメリカのヒスパニック人口の圧倒的多数がメキシコ系だよ。
そのため、スペイン語のアメリカでの需要は圧倒的です。
- アメリカが好き
- 仕事でアメリカ人と関わる機会がある
- アメリカに留学/旅行予定
など、アメリカでのコミュニケーションの幅を広げたいという人には、メキシコのスペイン語がおすすめなのです。
私の友人でも、スペイン語が話せてアメリカに駐在してる人が結構いるよ。
メキシコのスペイン語Q&Aでおさらい
メキシコのスペイン語を学ぶステップ
英語・スペイン語・フランス語の3つを習得した元通訳が、
初期費用ゼロから始められる、最強の外国語習得法【裏ワザ】を伝授します。
言語は本来、耳で聴いて覚えるのが正しい方法。
そのため文法に手を出す前に、まずは耳を慣らせておくことをおすすめします。
そうすることで、複雑な文法も頭に入ってきやすくなるからです。
オーディオブックを活用するとコスパがいいです。
シャドーイングは、聞こえてくる音声を追いかけてリピートする訓練法。
音声を聴く(インプット)と声に出す(アウトプット)を同時に行うことで、
総合的な語学力が効率良く身につきます。
現在語学学習において最も効率的とされているのがこのシャドーイング。
この段階で文法を勉強し始めると効果的。
最後に一番重要なステップが、実際にネイティブと会話をすること。
会話するときは、間違えることを恐れないで。
- マッチングアプリで交流する
- オンラインレッスンを受ける
主にこれら二つの方法がありますが、オンラインレッスンの方が安全です。
初心者には、確実に実践力が身に着くベルリッツがおすすめ。
メキシコのスペイン語まとめ
いかがでしたでしょうか。
メキシコのスペイン語は、スペインの標準語に比べて聞き取りやすく発音しやすいです。
日本人は習得しやすい傾向にあるため、英語が苦手な人にもおすすめです。
このブログでは、メキシコやスペイン語に関する様々な情報を発信しています。
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メキシコの関してはこちら。
スペイン語を勉強すべき理由についてはこちら。
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