「トルティーヤ(トルティージャ)」って何?どこの国のもの?
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
トルティーヤってきいたことあるけど、どこの料理かは分からない。
今回は「トルティーヤ(トルティージャ)」の起源や歴史を始め、どこの国でどのように食べられている料理なのか、そしてどのように作られているのかを徹底解説します。
こんな疑問を解決します。
- そもそもトルティーヤとは何?
- どこの国の料理?起源は?
- どのように食べられている?
この記事を最後まで読んでいただくことで、「トルティーヤ(トルティージャ)」のエキスパートになれること間違いなしです。
「トルティーヤ(トルティージャ)」とは
「トルティーヤ(tortilla)」は基本的にスペイン語圏で食べられている料理の名前を指します。
しかし国によって全く違う料理を指しているため、日本人の私たちは混同しがちです。
主に、スペイン版トルティーヤと、メキシコ版トルティーヤの二種類があると思っていただければOKです。
トルティーヤかトルティージャどっち?
そもそも発音はどっちが正しいの?
トルティーヤと表記されたり、トルティージャと表記されたりするのには理由があります。
スペインとメキシコでは同じスペイン語を話しますが、発音にかなり違いがあるため、表記が「トルティーヤ」と呼ばれたり、「トルティージャ」と呼ばれたりします。
スペインでは語尾のLLAを「ヤ」に近い音で発音しますが、中南米メキシコでは「ジャ」に近い音で発音します。
スペインでは「トルティーヤ」
メキシコでは「トルティージャ」
どちらを使っても結構ですが、日本では「トルティーヤ」と表記されることが多いようです。
そのためこの記事では「トルティーヤ」と表記することにします。
スペインが語源
「トルティーヤ(tortilla)」はラテン語が語源で、「パンケーキ」のような意味を持ちます。
スペインではもともと、卵焼きに似た家庭料理のことを指します。
ジャガイモにたっぷりの卵を絡めてフライパンで焼いた、分厚い円形の卵焼きのような料理です。
一般的には、「トルティーヤ・デ・パタタス」と呼ばれ、スペイン語で「じゃがいものパンケーキ」という意味です。※パンケーキといっても塩味です。
安価にできることから、昔は庶民の生活を支える料理だったと言います。
なんだかイメージが違う…。もっと薄っぺらい思ってた。
実は、同じ名前の食べ物が別の国にあるんだ。
海を越えアメリカ大陸へ
時は15世紀から17世紀の大航海時代。
スペインはアメリカ大陸にどんどん侵攻し、植民地化していきました。
その中で、スペインの文化や伝統、料理などもたくさん持ち込まれます。
エルナン・コルテスが征服したメキシコにも、スペイン人がたくさん入ってきました。
スペイン人たちは、メキシコの先住民たちがスペインの卵焼きに似た円形の料理を焼いているのを発見。
これをメキシコ版「トルティーヤ」と呼ぶことにしたのです。
メキシコの先住民たちは、小麦粉ではなくトウモロコシの粉を水で固めて焼いていたのですが、
スペイン人たちはこれを見て、「ボリュームのないパンケーキ」だと思っていたんだそう。
それがきっかけで、現在でもメキシコでは「トルティーヤ」という言葉が使われています。
私が知っているトルティーヤは、メキシコの食べ物だったんだ!
そう。現在ではメキシコのトルティーヤの方が知名度が高いんだ。
メキシコの「トルティーヤ」
スペイン人が勝手に「トルティーヤ」と呼んだこの「ボリュームのないパンケーキ」。
メキシコでは太古の昔からずっと食べられている、超伝統的な「主食」です。
日本でいえばお米のようなもので、神話にも出てくるくらい、彼らにとっては生活の一部です。
現地の言葉ではtlaxcalli(ナワトル語)やwaaj(マヤ語)と呼ばれており、ほぼ全ての料理に使われます。
これなしにはメキシコ料理は成り立たないほど重要なものなんだ。
マヤ文明ってあの有名な古代文明!メキシコだったんだね。
そのため現在のメキシコで「トルティーヤ」は、トウモロコシを粉状にしたものを水と混ぜて生地にし、薄くプレスして焼いたものを指します。
日本で「トルティーヤ」と聞くと、こちらの方をイメージする方が多いよね。
「タコスの皮」って呼んでたよ!
焼いた肉や野菜をこのトルティーヤで包んだ、「タコス」が有名ですよね。
トウモロコシは完全栄養食と言われた時代もあったほど栄養満点な食材。
現在でもトウモロコシ由来のコーンフレークは朝食の代表格。
昔のメキシコ先住民たちにとっても、トウモロコシは重要なエネルギー源でした。
「トルティーヤ」はどのようにして作られる?
石灰処理「ニシュタマリ」
「トルティーヤ」の原料であるトウモロコシは、石灰水を使用して煮ます。
これは「nixtamalización(石灰処理)」と呼ばれ、トルティーヤ作りに欠かせない工程です。
写真はメキシコユカタン半島のマヤ系先住民族出身の方。
それだけでなく、栄養価も格段にアップするということが科学的に証明されているのです。
恐るべし、メキシコ先住民の知恵ですね。
トウモロコシをアルカリ水処理することで、ヒトの必須アミノ酸のうち、特にリシンとトリプトファンの吸収が容易になる他、ヒトに必須なビタミンの1種であるナイアシンは体内でトリプトファンから合成されるため、ヒトにとってトウモロコシの栄養価が高まる。カルシウムは20パーセント、リンは15パーセント、鉄分は37パーセント上昇する。また、果皮を取り除くことで、すりつぶして練り物にしやすくなった。
(出典Wikipedia)
マサの成形
翌日、茹でたトウモロコシをすりつぶし、手でこねながら生地を作っていきます。
この生地のことを一般的に、「マサ(maza)」と呼びます。
マサが出来上がったら、ボール状に丸めて、プレスして薄い円形にします。
現在ではプレス器や専用機械が使われますが、昔は手のひらでプレスすることが多かったようです。
これを鉄板「コマル(comal)」の上で焼きます。
トルティーヤはもともとカラフルだった
「トルティーヤ」といえば、白や黄色を想像するかと思いますが、もともとは青や赤など、カラフルなものでした。
これは着色しているわけではなく、トウモロコシの色がカラフルだったことが関係しています。
現在は大量生産の需要により、黄色と白のトルティーヤが主流となっています。
しかし、伝統的な青や赤などのトウモロコシを守ろうという動きも活発になってきています。
特に青色のトルティーヤはとても人気で、メキシコを訪れる際は是非試してほしいな!
まとめ
大昔からメキシコの先住民たちの生活の一部として親しまれてきたメキシコの「トルティーヤ」。
現在では、「宇宙食」としても注目されており、宇宙まで進出しているんですよ。
昔の人たちの知恵が詰まった伝統食のトルティーヤ、是非一度ご家庭でも食べてみてくださいね!
このブログでは、メキシコについての様々な情報を発信しています。
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メキシコ料理についてはこちら。
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