メキシコの企業にはどんな福利厚生があるのか。
企業に勤めるなら、考慮したい福利厚生の充実度。
今回はメキシコのユニークな福利厚生についてお話しします。
メキシコ企業の福利厚生
Vales de Despensa(食品カード)
会社勤めの人は、福利厚生として食品カードを配布しているところがたくさんあると思います。
このカード、どういうしくみか理解していますか?
有名な会社だと、SíValeやEdenredがあります。
Vales de despansaとは、生活に必要な費用(主にスーパー薬局)に税金がかからないようにするためのもの。
会社が個人の給与額からある一定の金額を差し引き、SíValeやEdenredなどの業者に支払います。そして業者が個人のカードに振り込みます。
この振込額からは、税金が引かれていない、というところがポイント。
ちゃっかり買えるところもありますが、カードがブロックされることがあるようです。
レストランや家具、衣類が買える場合もあります。
差引額は、会社の福利厚生によってパーセンテージが違います。基本給の5%、10%、15%など。
ただし、差し引きできる額には上限があります。
この上限というのは、メキシコシティの最低賃金(日給)を考慮して計算されるため、毎年変わる数値です。
業者によって、使えるところが限られることもありますが、だいたいどこのスーパー・薬局・コンビニなどでも使えます。
駐在で来ている日本人にとっては、使い切るのが難しいですよね。
貯金の文化がないメキシコ人にとっては、残高がなくなったときの最終兵器になるのかもしれません。
また、ガソリンにしか使えないガソリンカードや、インセンティブカードなどもあります。
Valesは法定以上の福利厚生です。
Fondo de Ahorro(社内積立金制度)
これは社内積立金と呼ばれるもので、貯金ができないメキシコ人のために会社が勝手に貯金をしてくれる…だけではありません。
個人が積み立てた金額と同額を、会社も積み立てます。
そして、年末に個人積み立て分+会社積み立て分を合計して個人に振り込みます。
毎月給与から引かれている金額の、2倍が返ってくると思ったら、嬉しいですよね。
これも食品カードと同様、最低金額と上限が決まっています。
そして、会社によってそのパーセンテージも違います。
Fondo de Ahorroも法定以上の福利厚生です。
Aguinaldo(アギナルド)
これは年末に支給されるボーナスのこと。
日本のボーナスとは違い、契約時に金額(日数)が決められます。
労働法で定められている最低額は、日給15日分。
これを上回っていれば、その会社は法定以上の福利厚生ということになります。
払わられなければ、法律に反しています。
PTU(利益配分制度)
これは利益配分制度と呼ばれ、春に支払われます。
利益が大きいとかなりの額になってしまうため、人材をアウトソーシングの企業に委ねることがあります。
外部の派遣会社を使うこともあれば、その会社専属の会社を作ることもあります。
そうすれば人材を雇っているのは別の会社であるため、利益配分は最低限必要で済むからです。
特に規模の大きな会社でこの方法が使われています。最近すごく多いですね。
大統領が変わってから、この方法は法律すれすれグレーゾーン。従業員からすると、とてもネガティブなイメージですが、会社からするとかなりの節約となります。
これは法律で定められている福利厚生です。
Bono de puntualidad(出勤時間ボーナス)
時間を守れる人が報われるためのボーナスです。
時間通りに出勤できない人には支払われません。
メキシコシティや地方の一部(レオン、ケレタロ等)では渋滞がひどいので、どうしても時間通りにつけないこともありますよね。
メキシコシティだと、低所得層は郊外に住んでいることが多いです。オフィス街周辺に住めるのは中間層から富裕層。
メキシコ州からメキシコシティまでの道のり、公共交通機関も道路も、とんでもなく混んでいるので、余裕をもって家を出たとしても、時間通りに出勤するのが難しいことがあります。
他にも、
一部管理職の採用時などに、住居手当や引っ越し手当を出している会社もあります。
子女教育手当はほとんどありませんが、会社から奨学金や援助金が出ることもあります。
会社の上層部に車を貸与している企業も多いです。
通勤手当は実は珍しい。競争率の高い地方(ケレタロ州、グアナファト州)でたまにあるみたいです。その場合は、ガソリンカードを渡されることが多いです。
まとめ
いかがでしたか?
日本に比べて福利厚生の充実度は低いと言えますが、これから政府が少しずつ改善していくようです。
少しでも参考になれば幸いです。

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