日本に犬・猫を連れて行くためには、狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく輸入検疫を受けなければなりません。
手続き方法については動物検疫所HPに説明がありますが、国によって輸出の規定が異なります。
この記事では、メキシコからの輸出入の場合の手続き方法について解説します。
この記事は、内容を適宜見直して改善に努めます。
メキシコから日本へのペット輸出入手続きの流れ
ペットをメキシコから日本へ持ち込むには、最低でも8か月前くらいから手続きを開始する必要があります。
メキシコは、動物検疫所の「指定地域以外からの輸入」に該当します。
STEP2の狂犬病予防接種(1回目)と同日に行うことが可能。
生まれてから91日以降であることが必要。
不活化ワクチン(vacuna inactivada)であることを確認。
一回目の接種から30日以降に行う。
ワクチンの有効期間内(通常1年間)であれば、30日を超えても問題ない。
同日にSTEP4の抗体検査を行うことが可能。
獣医師を通して、アメリカのカンザス大学へ検体(血液)を郵送してもらう。
抗体価が0.5IU/ml以上であることを証明する書類を受け取る。
血の採血日から数えて180日以上、メキシコ国内で待機する。
この期間内にフライト予約をしておく。
到着予定日の40日前までにオンラインで行う。
メキシコ農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)の輸出証明書を取得する。
渡航日に空港で公印をもらう。
到着後、空港の検疫所でマイクロチップ読み取りと、簡単な検査を行う。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
①マイクロチップの埋め込み
まず初めに、犬・猫にマイクロチップを埋め込む必要があります。
ステップ②の狂犬病予防接種(1回目)と同日に行うことが可能です。
日本から連れてきたペットであれば、既に埋め込み済みのためスキップして構いません。
- ISO国際規格のマイクロチップ
- 「europeo」と呼ばれるタイプ
メキシコ国外へペットの輸出経験がある獣医師であれば、「アメリカタイプ」「ヨーロッパタイプ」の2タイプを扱っていることがほとんどです。
日本の場合、ISO国際規格である「ヨーロッパタイプ(europeo)」が必要となります。
アメリカタイプはISO国際規格でないため、アメリカタイプにしてしまった場合は装着しなおす必要があります。(参照)
マイクロチップのメーカーは、こちらの「AVID」であれば間違いありません。
日本への輸出経験を持つ獣医師
日本の場合は他の国と異なり、手続きが非常に複雑です。
少しでも間違えると、ペットと一緒に日本へ入国できないリスクがあります。
そのため可能であればかかりつけ獣医よりも、日本への輸出経験を持つ獣医師にかかることをおすすめします。
【ケレタロエリア】
Dra. Maria del Rocio Chavez Cabrera
住所 Anillo Vial Fray Junipero Serra 9500L-19 Queretaro, Qro. C.P.76146
電話番号 +52 4426186279
在メキシコ日本大使館HPに言及のある獣医師。
現在はケレタロ市勤務です。
電話で予約する必要あり。
【メキシコシティエリア】
Dr. Fidel Renobato Vazquez
電話番号 +52 5532015079
SAGARPAにコネクションのある獣医師。
ケレタロのChavez医師の業務委託先でもあります。
メキシコシティであれば自宅まで来てくれます。
Tlalpan在住。
【カンクンエリア】
Mundo Animal
連絡先 contacto@mundoanimal.com.mx
日本へのペット輸出手続き経験のある企業。
カンクンで何店舗か展開しています。
マイクロチップの読み取り確認方法
マイクロチップは、日本の空港検疫所で確実に読み取れることが必要です。
もし読み取れない場合、最悪入国が認められない可能性があります。
心配な方は、通販サイトなどでマイクロチップ読み取りリーダーを購入し、適宜確認すると安心でしょう。
②狂犬病予防接種(1回目)
マイクロチップの埋め込み後、狂犬病予防接種を2回行います。
- 不活化ワクチン(vacuna inactivada)
- 生まれてから91日以降であること
ワクチンの種類は、生ワクチンではなく不活化ワクチン(vacuna inactivada)である必要があります。
また、生まれた日から数えて91日経過していることを確認してください。
マイクロチップ埋め込み前に接種してしまった場合は基本無効ですが、例外として認められる場合があります。
③狂犬病予防接種(2回目)
1回目の接種から30日以降に2回目のワクチンを接種します。(接種日を0日とする)
- 不活化ワクチン(vacuna inactivada)
- 一回目の接種から30日経過していること
- ワクチンの有効期間が切れる場合は追加接種
ワクチンの有効期間内(通常1年間)であれば、30日を超えても問題ありません。
一方ワクチンの有効期間が切れてしまう場合は、追加接種を行う必要があります。
同じ日に、STEP④の狂犬病抗体検査の採血を行うことも可能。
④狂犬病抗体検査
動物検疫所が指定する検査施設で、狂犬病の抗体検査をしてもらいます。
メキシコ国内には対象の検査施設がありませんので、アメリカのカンザス大学へ検体(血液)を郵送する必要があります。
この手続きは、獣医師を通して行います。
- 狂犬病ワクチン有効期間内であること
- 検査日から渡航日まで国外に出られない
- 抗体価が0.5IU/ml以上であること
検査の結果はオンラインで適宜確認することが可能。
検査の結果が出たら、抗体価が0.5IU/ml以上であることを証明する書類を獣医師から受け取ります。
日本へ入国する際に最も重要な書類の一つになりますので、大切に保管します。
狂犬病抗体検査の証明書は、採血日から2年間有効。
2年間を過ぎる場合は、再度検査を行う必要があります。
⑤180日間の輸出前待機
検体(血液)を採ってもらった日から180日間の待期期間があり、ペットがメキシコ国外に出ることはできません。
この期間中、フライトの予約をするようにします。
その際、成田空港からの入国をおすすめします。
- 狂犬病予防注射の有効期間であること
- 狂犬病抗体検査から2年以内であること
- 渡航日は採血日から数えて180日以降
1回目の狂犬病予防注射から日本に到着するまでの間、
狂犬病予防注射の有効免疫期間が1日も途切れることなく、継続的に追加接種されていなければなりません。
日本到着前に狂犬病予防注射の有効免疫期間が切れてしまう場合は、追加接種を行う必要があります。
⑥日本側へ事前届出
犬・猫が日本に到着する日の40日前までに、日本の動物検疫所に事前届け出をします。
40日前までに届け出をしていない場合、渡航日を変更しなければならないため注意。
届け出方法は主に下記の3つがあります。
- オンライン
- FAX
- 電子メール
この中で最も早く確実な方法が、オンラインでの届け出です。
オンラインでの届け出は、NACCS(動物検疫関連業務)というシステム上で行います。
NACCSでのオンライン届け出
届け出内容に問題がなければ、数日後に届出受理書がメールで届きます。
到着後、空港の検疫所で行う検査の予約をすることができます。
フライト情報やワクチン追加接種などの変更がある場合も、NACCS上で変更申請をします。
不明点があれば、メールや電話で検疫所へ直接問い合わせ可能です。
メールの対応は1~3日程度、電話ならすぐに対応してもらえます。
⑦渡航前検査とメキシコ側の輸出証明書
メキシコ農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)より、輸出証明書を発行してもらいます。
SAGARPAでの手続きは、先ほど紹介したFidel医師に代行することが可能です。
代行した方がより確実で、SAGARPAへ行く手間が省けるのでおすすめです。
【メキシコシティエリア】
Dr. Fidel Renobato Vazquez
電話番号 +52 5532015079
SAGARPAにコネクションのある獣医師。
ケレタロのChavez医師の業務委託先でもあります。
メキシコシティであれば自宅まで来てくれます。
取得する書類は下記の2つ。
- FormAC(日本入国用)
- 輸出証明書(メキシコ出国用)
まずは、動物検疫所のFormACというフォーマットをダウンロードしておいてください。
下記の手順で行います。
獣医師に記載を頼むと、ミスをされる可能性が高いです。
代行する場合でも、ミスを防ぐため自分で記入しておきましょう。
出国前の健康チェックをしてもらい、民間獣医師の部分にサインをもらいます。
この際、必ず渡航72時間前の日付を記入してもらいます。
メキシコでは出国72時間前の検査が義務付けられています。
Fidel医師に代行する場合は、民間獣医師欄も記入してくれます。
メキシコSAGARPAの公印を取得した後では修正が難しくなります。
そのため、必ず動物検疫にメールで内容を確認してもらいましょう。
OKをもらえたら、次へ進みます。
メキシコSAGARPAのオフィスへ行き、FormACの一番下の部分を記入してもらいます。
この部分は、「裏書証明(endorsement)」とも呼ばれます。
この際、SAGARPAから輸出証明書を一緒に受け取ります。
SAGARPAは営業時間が特殊で、時間も丸一日かかることも。
そのためこの手続きは、Fidel医師に代行するとスムーズで確実です。
フライト当日、チェックイン前に行う手続きです。
メキシコシティ空港のSENASICA(動物検疫所)オフィスで輸出証明書に公印を押してもらいます。
SENASICA(動物検疫所)は、到着フロアのスターバックス横にあります。
営業時間は24時間で、所要時間は20分程度。
スペイン語が心配な場合は、同行をお願いすることも可能です。
チェックイン時に、航空会社から輸出証明書の提示を求められます。
輸入前検査について
動物検疫所のHPには、渡航10日以内に臨床検査を受けるよう記載があります。
しかし、メキシコでは渡航72時間前の検査が義務付けられています。
そのため10日前の日付が書いてある場合、輸出許可が下りない可能性があります。
必ず渡航前72時間以内の日付を記載してもらいましょう。
日付の例
- 民間獣医師による検査日…8月18日
- 政府機関の獣医師による検査日…8月18日
⑧日本到着後の輸入検査
日本の空港へ到着後、税関の検査を受ける前に動物検疫所のカウンターへ向かいます。
- 輸入検査申請書
- 狂犬病抗体検査結果通知書
- SAGARPAの輸出証明書
- 政府公印つきのFormAC
これらの書類を提出し、簡単な検査とマイクロチップの読み取りを行います。
問題なければ書類手続きをしてもらい、完了です。
所要時間は12時間以内とされていますが、実際は約20分程度で終わります。
成田空港内ではペットをケージに入れておく必要があります。
メキシコから日本へのペット輸出入手続き: Q&A
メキシコから日本へのペット輸出入手続き: まとめ
メキシコから日本へのペット輸出入手続きに関しては以上です。
ペットとの帰国に役立てていただければ幸いです。
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