ランチェラ|メキシコ音楽の大定番【※徹底解説】マリアッチも歌う国民的音楽。

メキシコ音楽 ランチェラ
目次

「ランチェラ音楽」とは

メキシコの音楽といえば、「ランチェラ」という音楽ジャンル。

日本の「演歌」のような位置づけだと言う人もいるほど、一昔前に大ヒットした国民的音楽です。

そんな古くさそうな音楽ですが、実は「ランチェラ」はメキシコを代表する音楽として、現在でも世代を問わず親しまれているのです。

今回はそんな「ランチェラ音楽」についてご紹介します。

マリアッチ

ランチェラ音楽の起源

メキシコ革命とともに発展

メキシコ音楽 ランチェラ

1910年メキシコ革命の時代、暴力と血にまみれた不安定な時代を背景に、「ランチェラ音楽」は形成されていきました。

メキシコ革命後、1930年代から1940 年代にハリスコ州で誕生したといわれる、メキシコの国民的音楽ジャンルです。

ハリスコ州はテキーラで有名なメキシコ第二の都市。(イケメンが多いことでも知られています)

農業や牧畜がさかんなハリスコの「ランチョ(田舎)」が発祥の音楽だったことから、「田舎の」を意味する「ランチェラ」と名付けられました。

過酷な毎日を送っていた労働者階級の人たちにとって、ランチェラ音楽は「気晴らし」のような役割を担っていたのです。

メキシコ音楽 ランチェラ

映画やラジオで人気爆発

マリアッチなどのバンドが演奏するランチェラ音楽は、当時ラジオや映画で大人気を博していました。

1930年代から1970年代にかけてメキシコ映画に多く起用されたことで、国民に広く普及していきます。

特にペドロ・インファンテは音楽だけでなく映画俳優としても活躍し、当時の国民的スターでした。

メキシコの国民的音楽に

メキシコ音楽 ランチェラ

このような歴史的背景を持つランチェラ音楽ですが、

現在ではメキシコの文化的音楽として、結婚式や誕生日などのお祝いやパーティには欠かせないものとなっています。

またマリアッチが演奏する音楽にも大きく影響しており、メキシコの国民的音楽へと変化していきました。

最近はメキシコ系アメリカ人やアメリカ在住メキシコ人たちからも再評価されるようになってきたことで、世界的に知名度を上げています。

アメリカには莫大な数のラテン系移民とその子孫の数が住んでおり、大規模なラテン音楽の祭典「ラテングラミー」も開催されるなど、「ラテン音楽」がアメリカ音楽界で人気を博しています。

そんな中、メキシコの伝統音楽である「ランチェラ」歌手たちも、海外でのコンサートを行ったり、有名な歌手とコラボしたりすることで、世界的に注目されるようになったのです。

ランチェラ音楽の特徴

メキシコ音楽 ランチェラ

恋愛や失恋をテーマとしたロマンチックな曲が多い一方、バーで語られる話や農民の生活に関する苦難など、メキシコ革命時代の名残を感じるものもあります。

マリアッチやカウボーイ(チャロ)の衣装を身に着けて歌うのが一般的。

「マチョ(=男らしさ、男性優位)」を基本とした歌詞が多く、一部の若者やフェミニストには嫌われる傾向にもあります。

ランチェラ音楽を代表する歌手

Pedro Infante(ペドロ・インファンテ)

シナロア州出身のペドロ・インファンテは、ランチェラ音楽界で最も重要な人物の一人。

映画俳優としても活躍しましたが、飛行機の自己により突然命を落とします。

Javier Solis(ハビエル・ソリス)

ボレロとランチェラの融合音楽を確立させたアーティストの一人。メキシコシティ出身。

ペドロ・インファンテ同様、映画俳優としても人気を博していました。

Jorge Negrete(ホルヘ・ネグレテ)

グアナファト州出身のホルヘ・ネグレテは、同じく歌手・俳優として活躍したアーティスト。

軍隊の学校を卒業しており、バハマやハリウッドでも活躍しました。

Antonio Aguilar(アントニオ・アギラール)

サカテカス州の小さな村で生まれ育ったアントニオ・アギラールは、違法移民としてアメリカのロサンゼルスに渡ります。

歌手・俳優として活躍し、1997年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンを6夜連続で完売させた唯一のラテン系アーティストと知られています。

Pepe Aguilar(ペペ・アギラール)

アメリカのテキサス州サンアントニオ出身のペペ・アギラールは、アントニオ・アギラールの息子。

幼い頃から父とともにランチェラ歌手として活躍。

現在は子供のレオナルドとアンヘラが世界的に活躍している、ランチェラ一家です。

Jose Alfredo Jimenez(ホセアルフレド・ヒメネス)

ラテングラミー賞の代表曲「El Rey」を手掛けた人物で、ビセンテ・フェルナンデスやクリスティーナ・アギレラなどにも影響を与えた曲。

現在でも世界中で愛されている、強い男をテーマにした曲でもあります。

Vicente Fernandez(ビセンテ・フェルナンデス)

ランチェラ音楽の最後の伝説と呼ばれる、ビセンテ・フェルナンデス。

労働階級出身で、とても貧しい子供時代を送ったことで知られています。

「ランチェラの王」とも言われ、国民に親しまれてきました。

ヒット曲の一つである「Volver, Volver」は、これまでの古くさいランチェラ音楽に革命を起こすことになります。

海外、特にアメリカでも人気を博し、ハリウッドのWalk Of Fameに名前が入れられました。

現在は息子のアレハンドロがその歌声を引き継いで活躍しています。

あわせて読みたい
ビセンテフェルナンデスとは?【※徹底解説】極貧から国民的大スターへ。 【ビセンテ・フェルナンデスとは】 View this post on Instagram A post shared by Vicente Fernández ® (@_vicentefdez) メキシコを代表する国民的大スター、「ビセン...

現代のランチェラ歌手

メキシコ 治安 危ない

時代は移り変わります。

ランチェラ音楽は男社会を中心とした歌詞が「古くさい」として、年々歌う人が減っており、絶滅の危機に瀕しています。

そんな時代にも、自分たちのルーツに誇りを持ち、現代ランチェラを歌い続けている若者がたくさんいます。

偉大な父ビセンテ・フェルナンデスの息子、アレハンドロ・フェルナンデスや、ペペ・アギラールの娘、アンヘラ・アギラール、そしてクリスチャン・ノダルです。

日本でたとえるなら氷川きよし。

古くさいランチェラ音楽を現代風にアレンジし、時代に合った音楽に変化させながら伝統音楽を現代につないでいます。

Alejandro Fernandez(アレハンドロ・フェルナンデス)

偉大なビセンテ・フェルナンデスを父に持ち、現代ランチェラ界のアイドルとして、世代を問わず愛されている歌手。

現代風のアレンジが親しみやすく、数々のヒット曲を生み出しています。

Angela Aguilar(アンヘラ・アギラール)

ペペ・アギラールの娘。ランチェラ一家に生まれ、綺麗な歌声と可愛らしい見た目から、世界中で人気を博している歌手です。

Cristian Nodal(クリスチャン・ノダル)

若い頃に「Adiós amor」という曲で大ヒットし、現在でもヒット曲を生み出し続けている歌手。

まとめ

メキシコ革命の不安定な時代背景から生まれたランチェラ音楽は、現在では国民的音楽と変化し、形を変えながら現代にも受け継がれています。

メキシコ人がランチェラ音楽を聴くと懐かしい気持ちになるのは、先祖代々家族で歌ってきた音楽であり、生活の一部だったからでしょう。

メキシコに行くと必ず耳にするランチェラ音楽。世界中でもっと再評価されることを願うばかりです。

ランチェラ音楽は、Spotifyで聴くことができますよ。

あわせて読みたい
リメンバーミー|映画の意味はメキシコの伝統を知ることから【※必見!】 メキシコの家族を持つ私にとって、映画「リメンバーミー」は涙なしには見れない感動映画だよ。 リメンバーミーって、ガイコツがいっぱい出てきてちょっと怖い…。 映画「...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次