メキシコには実にたくさんの種類のトウモロコシが存在します。
青、赤、白、黄、ミックスなど、大昔からトウモロコシの種類がとても豊富。
今回はその中でも、世界的に珍しいといわれる「ウイトラコチェ(Huitlacoche)」について解説します。
ウイトラコチェ(Huitlacoche)とは?
ウイトラコチェ(Huitlacoche)とは、黒穂病に感染したトウモロコシのこと。
名前はナワトル語で「神々の排泄物」という意味(笑)
現在では「メキシコ料理の黒い神」「メキシコのトリュフ」とも呼ばれ、メキシコではストリートフードから高級レストランまで、あらゆる場面で提供されます。
見た目はこんな感じ。初めて見るときは、グロテスクな見た目に衝撃を受けると思います。
これがトウモロコシに見えますでしょうか?
黒くなっているのが黒穂病の菌に感染し腫瘍となったコーンですが、食べても体に害はありません。
黒穂病の菌は梅雨の時期(7月~9月頃)に増殖しやすい菌の一種で、実はメキシコだけでなく世界中のトウモロコシ畑に見られます。
またキノコの一種と間違われがちですが、キノコではありません。
黒穂病の菌は風に乗って健康なトウモロコシに感染し、一つ感染すると畑全体がやられてしまうほど、世界中で恐れられているもの。
一般的には寄生虫とみなされ、見つかるとすぐに取り除かなければならないと言われています。
ウイトラコチェ(Huitlacoche)の歴史
スペインがメキシコを侵略する前まで、黒穂病に感染したトウモロコシは害とみなされていました。
しかし植民地時代、先住民たちは深刻な飢餓を経験します。
食糧が十分に行きわたらない時代、当時の人々は食べられるものは何でも食べて飢えをしのんでいました。
そのため、見た目がグロテスクな黒穂病に感染したトウモロコシまでも食べるようになったというわけです。
それが現代の高級レストランに並ぶようになったなんて、なんだか皮肉ですね。
現在ではウイトラコチェ(Huitlacoche)専用の畑も数多く存在し、国外に輸入までしている立派な農作物です。
ウイトラコチェ(Huitlacoche)はどんな味がするの?
中には、土の味、ベリー系フルーツとしいたけの間など、様々な意見がありますが、
少し苦いような、酸味があるような、珍しい味です。
一般的には、トルティージャに包んでタコスやケサディーヤとして食べることが多いようです。
クリームスープやシチューに使われることもあります。
ウイトラコチェ(Huitlacoche)は体にいの?
ウイトラコチェ(Huitlacoche)には炭水化物や食物繊維のほか、必須アミノ酸が豊富に含まれており、抗酸化作用も注目すべき部分です。
リジン
肉などに多く含まれる、たんぱく質の組み立てに必要な栄養素で、抗体、ホルモン、酵素などの構成成分となります。体の修復や成長に関わっています。
また、アミノ酸の中で、最も不足しやすいと言われています。
必須脂肪酸
ウイトラコチェ(Huitlacoche)には、オレイン酸とリノール酸、オメガ3とオメガ6が豊富。
必須脂肪酸は人間の体内では生成できず、食べ物から摂取する必要があります。
ダイエット中の方や血糖値が気になる方におすすめです。
リン
リンには、歯や骨を丈夫にしたり、筋肉や神経の機能を正常に保つ働きがあると言われています。
さらにエネルギーを蓄える働きもあります。
ビタミンC
ビタミンCには、皮膚のメラニン色素の生成を抑えると言われています。
ウイトラコチェ(Huitlacoche)を使ったさまざまな料理
ウイトラコチェといえばケサディーヤ。
タコスも美味しそうです。
まとめ
昔は「ゴミ」とされていた黒穂病に感染したトウモロコシを、「グルメ」「珍味」として楽しめるようになったなんて、とても興味深いですよね。
気になる方は、是非試してみてくださいね!
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