メキシコサンショウウオと呼ばれる動物、通称「ウーパールーパー」。
メキシコサラマンダーとも呼ばれますが、世界では一般的に「アホロートル(ajolotl)」と呼ばれているため、ここではアホロートルと呼ぶことにします。
今回私は、原産地のメキシコソチミルコ湖へ行って、その生態を探ってきました。
きっとあなたが思っている以上に奥が深い動物です。
アホロートルとは
アホロートルはメキシコが原産で、メキシコシティのソチミルコ湖と、周辺のごくわずかな地域にしか生息していません。
学術名はメキシコサンショウウオ(学名:Ambystoma mexicanum)。
平均的に15㎝くらいになると言わていますれが、大きいものだと30㎝に成長することもあります。
軟体動物、ミミズ、昆虫の幼虫、甲殻類、魚などを食べて成長します。
寿命は長く、平均して10年、長ければ15年、最長で25年生きると言われています。
不思議すぎる生態
オタマジャクシの場合は、背びれがなくなり足が生えてきてカエルの形になりますよね。
しかしアホロートルは、成体になっても幼生の特徴を保持するという珍しい特徴を持つサンショウウオです。
これは幼形成熟(ネオテニー)と呼ばれ、性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な、つまり幼生や幼体の性質が残る現象のこと。
ちなみに私達モンゴロイド系アジア人は、背が低く童顔で体毛が薄く肌が綺麗と言われ、海外でも若く見られる傾向にありますよね。
またほとんどのサンショウウオとは異なり、基本的にアホロートルは一生を水中で過ごします。
ですが稀に、水生から陸生に変態する現象が起きます。
体を再生できるピッコロ大魔王?
アホロートルは、独自の再生システムをもつ両生類です。
アホロートルは体の一部を再生することができるのです。ドラゴンボールでたとえるなら、ピッコロ大魔王。
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写真の個体は、仲間と喧嘩してもぎとられてしまった腕を再生しようとして、もう一本生えてきたそうです。↓
いろんな色のアホロートル
実はアホロートルはもともと黒、またはまだらの茶色をしています。
一般的に知られている人気のアホロートルは、白とピンクですよね。
白色の品種はリューシスティック(白変種)と呼ばれ、色素の減少により体が白色化したものと言われています。
また、遺伝的に白色が生まれるアルビノのアホロートルも存在します。
絶滅危惧種に指定されている
昔はこのソチミルコ湖に大量に生息していたのですが、現在はかなり数が減ってしまっています。
アホロートルは国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧に指定されています。
個体が減ってしまった原因としては、埋め立てによる生息地の減少、外来種の侵入、乱獲、環境汚染が考えられています。
ソチミルコ湖は大都市メキシコシティの中にあるため、生活排水の影響は避けられません。
そして、珍しい生態とかわいらしい見た目のアホロートルは、世界中へ密輸出されているのも事実です。
アホロートルの伝説
「アホロートル(ajolotl)」とは、アステカ文明のナワトル語で、「水」と「犬」を掛け合わせてできた単語。
先住民時代のメキシコでは、アホロートルは神聖な動物とされていました。
現在はカトリック教徒が圧倒的に多いメキシコですが、スペインに植民地化される前のメキシコでは実は、アニミズムの信仰がありました。
アニミズムは簡単に言えば、昔の日本のように八百万の神を信仰する考え。
全知全能の神と呼ばれた蛇の神、「ケツァルコアトル(Quetzalcóatl)」の兄弟であったのが、犬の神「ショロトル(Xolotl)」。
そして、この犬の神「ショロトル(Xolotl)」の化身が水の中に隠れたのが「アホロートル(ajolotl)」、つまりウーパールーパーでした。
死を恐れて水の中に逃げたアホロートルに、兄弟である蛇の神、「ケツァルコアトル(Quetzalcóatl)」はこう言ったと言われています。
「おまえは誰かのために犠牲になって死ぬことを拒否したのだから、一生水の中にとどまることだろう。おまえにとっての生きるための要素である【水】が汚れるとき、おまえの種は人類とともに姿を消すことになるだろう。」
まとめ
今回参加したのは、アホロートルを保護する目的で行われている、エコツーリズムと呼ばれるツアーです。
アホロートルはただの可愛らしい動物ではなく、これほど興味深い両生類であることがお判りいただけたかと思います。
アホロートルに興味が湧いたと思ったら、是非おうちにアホロートルグッズを迎えてみてくださいね!
アホロートルの生息するメキシコシティや先住民時代のメキシコについてもっと知りたい方は、こちらの記事も読んでみてくださいね。